2010年4月25日日曜日

アウトレット2強火花 三井不VS三菱地 立地戦略に違い

 服や靴などのブランド商品の売れ残りを格安で売る店が集まる「アウトレットモール」をめぐり、大手不動産会社の三井不動産と三菱地所が、顧客獲得で激しい火花を散らしている。両社だけで全国にあるアウトレットの約半分を占めるだけに、どちらもひけない頂上決戦。個人消費が低迷する中、人気のアウトレットをめぐる両社の競争は、ますますヒートアップし rmt 価格相場
そうだ。(大柳聡庸)

 ◆三井が新設攻勢

 富士山をのぞむ静岡県御殿場市。三菱地所子会社のチェルシージャパンが運営する「御殿場プレミアム?アウトレット」は、週末ともなれば訪れる人の波でごった返す。「掘り出し物もあって、見ているだけで楽しい」。英国製高級食器を“在庫処分品”として格安で購入した都内に住む30代の女性会社員は rmt
満足そうに話す。

 アウトレットモールは型遅れや、売れ残ったりした衣料品や靴などを格安で扱う店を集めた商業施設。有名ブランドでも時には正規品に比べて5割以上も安く買える。通常の商品を扱う正規店と商圏が重ならないよう、郊外の立地が多い。

 国内には30以上のアウトレットがある。市場規模は5000億円超とみられ、5年後に
は8000億円規模にまで拡大するとの見方もある。とくに三井不動産と三菱地所は、それぞれ8施設を出店しており、市場の牽引(けんいん)役となっている。

 ただ、両社のアウトレット戦略は大きく異なる。

 施設の新設に、より積極的なのが三井不動産だ。9カ所目となる「三井アウトレットパーク札幌北広島」を4月に北海道北広島市にオ
ープンする。さらに今夏に滋賀県竜王町に、2012年春には千葉県木更津市に施設をそれぞれ新設する計画で、一層の顧客獲得を目指す。

 大都市圏郊外でありながら、一部施設を除き鉄道最寄り駅から徒歩でいける場所に出店しているのも特徴だ。「平日でも会社帰りや家族連れの人に来てほしい」(商業施設本部の三留秀成統括)としている。


 ◆三菱は商品充実へ

 一方、三菱地所は原則、大都市圏から車で90分程度の場所に設置する。正規店から離れることで顧客の奪い合いを避け、商品を充実させる。アクセスを良くするため高速道路のインターチェンジ付近に立地し、敷地面積も比較的広く取る。

 また、今年夏には岐阜県土岐市の「土岐プレミアム?アウトレット」を増床する。
新規開設の具体的な計画は今のところないが、チェルシージャパンの吉村俊秀社長は「首都圏で、もう1つくらい可能性がある」と、含みを持たせる。

 三井不動産と三菱地所はアウトレットで他社の追随を許さない。大手デベロッパーとして都市再開発やオフィスビル、リゾート開発などを長年手掛け、大型商業施設の開発と運営に長けているからだ。野村
証券の福島大輔シニアアナリストは「アウトレットの成功には構成するテナントの魅力が必要で、三井不動産と三菱地所には有力な店舗を集める力がある。大規模施設の運営にも強みがあり、両社による寡占化がさらに進むだろう」とみる。

 今後、アウトレット市場は両社“一騎打ち”の様相が強まりそうだ。

 ■業態多様化 迫る淘汰の波


 通常の商品を扱う正規店と顧客の奪い合いを避けるためアウトレットモールは、郊外に出店する?。こんな業界の常識を打ち破り、アウトレットに参入したのが森ビルだ。同社は昨年12月、東京?お台場の商業施設「ヴィーナスフォート」を改装し、1、2階部分に正規店、3階部分にアウトレットを設置した。東京23区内では初めてのアウトレット施設だ。


 高級ブランドを展開するアパレル会社などは、正規店の顧客が奪われる懸念から、商圏の重なる都心部へのアウトレット出店には消極的だった。ところが、アウトレットの人気が広がったことで状況は変わりつつある。都心部のアウトレットでブランドが広く認知されれば、そのまま正規店の集客にもつながる相乗効果が期待されるからだ。

 施設
を運営する森ビル子会社ヴィーナスフォートの石川哲史営業統括本部長は「せっかく郊外のアウトレットでブランドを知っても、その郊外に正規店がなければ相乗効果を得にくい」と、都心部にアウトレットがある利点を説明する。

 これまで大手不動産会社の独壇場だったアウトレット。だが、大手小売りのイオンが参入を検討しているとされるなど、運営
会社の業態に広がりも予想される。新規参入と、既存会社による新規出店も合わせ、施設の数は今後も増える見通しだ。

 ただ、当面、市場は拡大が見込まれるものの、いずれ飽和状態になる。昨年3月には千葉県長柄(ながら)町のアウトレットが経営に行き詰まり、閉鎖に追い込まれた。大和総研の土屋秀文経営コンサルティング部次長は「大手不動産会
社は優位にあり、その他の運営会社の淘汰(とうた)が進むだろう」と分析している。

                   ◇

 ■伸びる収益 賃貸部門を下支え

 アウトレットモールでしのぎを削る三井不動産と三菱地所。不況の影響でオフィスビルの賃貸収入が伸び悩む中、デフレ下でも元気なアウトレットの収益が両社の業績を
底上げする。

 オフィスビルや商業施設などの賃貸収入からなる賃貸部門は、両社にとって主力事業の一つ。2009年4?12月期の同部門の営業収益(売上高に相当)は三井不動産が前年同期比3.4%増の4119億円。賃貸収入を中心とする三菱地所のビル事業も13.4%増の3258億円と順調だ。中でも積極的な出店で好調なのがアウトレットの
営業収益。

 三井不動産の賃貸部門のうち、アウトレットや複合商業施設「ららぽーと」といった商業施設の営業収益(09年4?12月期)は、13.5%増の913億円と大幅に増加した。新規出店や既存店の増床が寄与したためで、賃貸部門の営業収益のうち商業施設が占める割合は22.1%と2.0ポイント上昇。その存在感は増し続けている。


 一方、三菱地所子会社でアウトレットを運営するチェルシージャパンの09年4?12月期の営業収益は211億円で、前年同期に比べ2けたの伸びを確保したもよう。この結果、三菱地所のビル事業の営業収益のうち、チェルシーが占める割合は6.5%に上る。

 不動産市況の悪化には歯止めがかかりつつある。それでも、景気低迷の影響を受
けて両社の09年4?12月期の連結営業利益は、三井不動産が14.7%減の1074億円、三菱地所も18.1%減の864億円と、それぞれ減益となった。今後もアウトレット市場の成長が見込まれるだけに、「しばらくはアウトレットが両社の業績を下支えする」(証券アナリスト)構図が続きそうだ。

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引用元:ロハン(新生R.O.H.A.N) 専門サイト/

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